先日のNHKラジオ第1での出演では、金子みすゞさんの一人娘・上村ふさえさんのインタビューも放送されましたが、そのことで初めて知ったという反響が多かったのが、「南京玉」という一冊の本です。
この本は、3歳だった上村ふさえさんのおしゃべりをみすゞさんが記録したものを、製本されたものです。みすゞさん生誕100年を迎えた2003年4月11日にJULA出版局より発刊されました。
ふさえさんが形見としてずっと持っていた記録。自分の言葉が書いてあるから持っていた、と語られるふさえさんですが、そこには、記憶にはない母の姿がありました。自分のこの言葉の向こうに、聴いている母が、お話している母の存在がある。
自分を捨てたと思っていた母が、自分をこんなにも思ってくれていたと知る1冊。
ラジオの中で語られる、ふさえさんの想いに、多くの方々が心打たれました。
私のレギュラー番組「ちひろDEブレイク」で、この中の言葉をご紹介したこともありますが、この1冊は今もずっと、母と娘を繋いでいる光のような存在です。
「南京玉」にみすゞさんが記されている冒頭文をご紹介します。ここに母としての想いが込められています。
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なんきんだまは、七色だ。一つ一つが愛らしい。尊いものではないけれど、それを糸につなぐのは、私にはたのしい。
この子の言葉もそのやうに、一つ一つが愛らしい。人にはなんでもないけれど、それを書いてゆくことは、私には、何ものにもかへがたい、たのしさだ。・・・・・
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