8月21日は、山口県光市で教職員とPTAの方々が参加される「教育フォーラムin光」が開催され、その教育講演として、ちひろトーク&コンサートをさせていただきました。
山口県に生まれ育った童謡詩人金子みすゞ。しかし、山口県でも知る人ぞ知る存在でした。30年前に金子みすゞ全集がJULA出版局から出版され、じわじわと広がり始めました。生誕100年の2003年に金子みすゞ記念館が建てられて一気に長門市としてのPRも盛んになり、あの東日本大震災直後、テレビCMで「こだまでしょうか」が放送される。
お客様からもよく、「金子みすゞは今、甦るべきときに甦ったんでしょうね。みすゞさんの詩の心は、当時としては先見の眼がありすぎて、早すぎたんでしょうね」という言葉もいただきます。
当時でももちろん、西條八十に「新人の中の巨星だ」とまで賞賛される存在にまでなる。しかし、運命というものはせつないものです。もちろん、みすゞさんが生きておられる時に、今のように全国で愛される作品になって、彼女がそれを知りながら人生を全う出来ていれば、彼女も倖せな気持ちでこの世を終えることができたでしょう。しかし、もしそのように昭和初期の時代に既に広がっていたとしたら、現代の私たちは、ここまで彼女の詩を学ぶ機会を持たなかったでしょう。
金子みすゝの心は、いつまでも相手のために寄り添ってくれる、求める時に現れ、時に光となり、時に陰となる、慈しみ深い存在です。
みすゞさん、ありがとう。